ジグソー法による教育実践動向の把握

大学院の教育の方法と評価I(初等)において,現在の教育方法の動向を把握する授業を実施した(3.5コマをかけての実施)。
18人いるので,附属小学校や文部科学省の研究開発学校をもとに,テーマを6つ設定し,3名ずつ割り振った。そのグループには,できるだけ教育実践から迫れるように資料を提供した。
次に,調べてきたことをテーマが異なる6名ずつのグループに編成し,調べてきたことを紹介してもらうことで,各テーマの理解を深めた。さらにそこから,再度3名からなるテーマグループに戻り,自分たちのテーマを中心としたコンセプトマップを描かせた。そして,グループ同士でコンセプトマップを比較し合い,足りない点や関連を気づかせた。
目標としておいていた動向把握にはある程度至れたのではないかと考える。中でもひとつひとつのテーマにとらわれることなく,どのように教育方法に関するテーマをとらえればよいか,また,大きくは方法の標準化と新しい学力を身につけさせるための探索的な教育方法で構成されていることなどについて,最後は説明した。
資料の下調べやテーマ設定にもう少し時間をかけたかったが,そこそこうまくジグソー法を適用できたのではないかと考えている。加えて,その下調べの段階で現在の附属校の動向もある程度把握できた(これも本当は,もう少し勉強を深めたかったが)。

ベネッセ教育総合研究所「教育フォーカス」

先日の投稿において,ベネッセの「ICTを活用した学びのあり方」に関する調査に関わった旨,報告をした。この調査を受け,それをどう見るかや今後の方向性について述べられた特集が,教育フォーカスの【特集7】学校教育におけるICT活用の可能性を考えるとして組まれている。順次アップされるそうである。まだ第1回目の中川先生のお話のみ掲載されている。
今後私の記事も登場する予定であるが,中川先生のお話の「ギアチェンジ」の部分が,自身の興味関心と重なるなと思って読ませていただいた。

パナソニック教育財団特別研究指定校(愛和小学校)の指導助言者に

さて,1ヶ月以上放置をしていたわけであるが・・・(いつものこと)。
本日,NHKのニュースを見ていると,「教育ITソリューションEXPO」のニュースが出ていた(教育現場向け最新ITを紹介)。今をときめく(?)タブレット端末が話題となっていたのだが,その活用事例として,多摩市立愛和小学校が紹介されていた。
ニュースにおいても,多数の企業から支援を受けていることが紹介されていたが,本校は今年度から2年間パナソニック教育財団の特別研究指定校となっている。この制度は,財団からアドバイザーとして,財団が指名する専門委員が派遣されることになっているが,この指名を受けたのが私である。挨拶という形で,先月訪問をさせていただいたが,なかなか興味深い学校であり,今後の「ひとり一台端末」のあり方を考えるにはヒントになる学校だと思う。明日,私は欠席をするが,同財団の助成式がある。愛和小学校の今後の動向に注目していただきたい。
先日私が訪問した折は,1年生にiPadをはじめて渡すというシーンを見たのであるが,そのような子たちも,本日のニュースではスムーズに活用しているように見えた。今後どうなっていくのかが楽しみである。

「ICTを活用した学びのあり方」に関する調査

慌ただしさですっかりと忘れていたのであるが,先月ベネッセ教育総合研究所から「ICTを活用した学びのあり方」に関する調査報告書が,発行されている。この調査の作成や調査結果の検討に,メンバーとして一部関わらせていただいた。
小学校や中学校の先生方に対し,教育におけるICT活用への実態や意識を聞いている調査である。一般校の先生はもとより,ICT活用実践を積極的に進める学校の先生も対象としている。また,ICT活用そのものだけではなく,21世紀型能力に対する認知度などの,学力に関するデータもある。ICT活用については,各取組について,どの程度実施されているか,実施したいかを段階的に把握しようとしている点も特徴的だ。
PDFにて入手できるので,一読をおすすめしたい。

書籍「タブレット端末で実現する協働的な学び」が発売されました

フォーラムAから,「タブレット端末で実現する協働的な学び」という書籍が発売された。放送大学の中川教授が主査となり,私も編著者としてその一端に加えていただいた。
タイトルにもある通り,タブレット端末や協働学習に関する実践事例が多く掲載されている。教育におけるICT活用に興味がある方は,是非ご購入ください。
この書籍発行につながる研究会は,一昨年あたりから数度開催されてきたが,このような書籍発行という形で結実するというのは,素晴らしいことだと思う。毎度のことながら,このようなプロジェクトの運営について,中川先生から学ぶことは多い。
今のところAmazonでも,「在庫あり」の表示がでております。

タブレット端末で表現する協働的な学び―xSync‐シンクロする思考

タブレット端末で表現する協働的な学び―xSync‐シンクロする思考

中橋雄(2014)メディア・リテラシー論(北樹出版)

著者の中橋さんは,関西大学の同じ研究室にかつて所属をしており,今も仕事で一緒になる機会も多い。そういう縁もあり,この度書籍を頂いた。ありがとうございます。
本書は,メディア・リテラシーの概念が説明されており,それを育む方法を考えるための事例が豊富に提供されている。話題提供だけではなく,読者に考えさせようとしているところが,著者らしいと思う。メディア・リテラシー研究の系譜や日本国内外の動向も理解できるようになっていることから,今後メディア・リテラシーを考えるための必須図書になるだろうと思う。
著者の博士論文がベースとなっているが,この10年間に取り組んで来た研究などの成果も大いに盛り込まれている。特にこの10年はソーシャルメディアの進展が著しいので,その点が大幅にアップグレードされた内容であるといえよう。理論的にアップグレードするだけではなく,著者が取り組んできた研究プロジェクト,フィンランドへの訪問などの成果もまとめられている。加えて,学校教育における事例も豊富である。ひとつの集大成であると読み取った。
本書を読んで,「何とか論」として,1冊の本をまとめることに研究者個人として興味をもった(これまではあまりなかった)。私も3回ぐらい授業をしたり,1,2章ぐらいであれば執筆できるかもしれないが,やはりここまではまとめられるはずもない。プロフェッショナルな仕事だと思う。中橋さんの仕事はどれも自分の研究の視点から筋が通っている。本書に目を通していて,自分の不甲斐なさを反省した。

メディア・リテラシー論

メディア・リテラシー論

2014年度(長崎大学10年目)のスタート

2014年度がスタートした。長崎大学での勤務がちょうど10年目に入った。エリクソンの「10年ルール」からすると,熟達者の域に入りつつあるということだが,理論と実践は異なるなあ・・・。
昨年度から自分の色んな環境が変わり始めた。仕事だけ言っても,今年度からは,ほぼ大学院にシフトした。教職大学院がリニューアルされたため,授業も増えることになった。今までと同じ仕事のやり方でやっていくのは難しいと思う。
その中で,自分が何をやっていくべきかを考えると,研究や教育,仕事の質的改善だろう。今までは業績も仕事も数や量にこだわってきた側面がある。これを追ったり,劇的な向上を図るのは難しい。質的な向上や変化を図りたい。研究の内容についても,これまでのことを基盤としながら,意識的に変えていくことになると思う。一方でプロとしての意識を大切にし,日々の過ごし方をさらに大事にしたいと思う。
今まで10年単位でものごとを考えることはなかったが,次の10年で何をすべきかを考える節目の1年になるのだろうと思う。どちらかと言うと変化を嫌う方だが,やってくる(あるいは,起こす)変化を楽しみながら,成長を図りたいと思う。
今年度もどうぞよろしくお願いいたします。