「確かな学力」としての学びのスキル

生活・総合・社会・理科における「主体的・協同的問題解決スキル」を「確かな学力」の中核を担う存在だとして,その立場からスキルの育成を理論と実践の両面から述べている。後半の実践論文はただ実践したというだけではなくて,評価をする努力も怠っていない。これはやはり鳴門教育大学で学んだ実践者の先生だからこそできるのであって,今全国でここまでまとめられるほどスタッフがそろっているところはないと思う。一実践のまとめ方として,参考になるのではないか。
一方,理論編のほうは現場教員向けに書かれていることもあり,わかりやすいが,そのバックグランドとなる学問(心理学など)ともう少し結び付けていかないと,近隣分野の人でもその効果を納得させられない。このような本の存在意義はあるし,理論にともなう具体例も満載で,近年の総合的学習に関連する本としてはよくできていると思う。ただし同時に学会誌等でもさらに研究よりな論文をまとめ,そのコミュニティを発展させていくことも重要なのではないかと思った。学校現場における研究の方向性を考えさせられた。
6章においては田中先生@大阪教育大学が諸外国のスキル育成に触れているが,どの国を見てもコミュニケーション能力的なものが載っていることが注目に値する。参考に以下のURLがあがっていたので,またの機会に見てみるとしよう。
http://www.edexcel.org.uk/
http://www.conferenceboard.ca/default.htm
http://education.qld.gov.au/corporate/newbasics/