過去の教育者について学ぶ(大学院教育方法蓄積プロジェクト)

大学院・教育の方法と評価(今期は4クラスある)で,過去の教育研究・実践者から学ぶという授業を実施した。東京大学の山内研の取組みを参考にさせていただいた。教職大学院においては,実践を重視するというスタンスであるが,これまで(特に現職教員院生)に色々と聞いていると,こうした書籍から得られる学びが多いという話もあり,前から何かできないかとは考えていた。本年度,初の試みとなる。
まず人物を選定した。デューイやヴィゴツキーなども人物リストに入れたが,日本の著名な実践者も入れた(そういえば,日本人の研究畑の人は入れなかった)。現職教員院生の一部などは,大村はまや東井義雄などを選択していた。歴史的経緯や個人の背景に着目すること,こちらから紹介するキーブックは必ず参照すること,今日の教育実践にどのようなつながりがあるのかについて見つけ出すことなどを条件とした。また,10分程度の解説ビデオを作ることにしてもらった。これは,学部生などにどう伝えるかを想定して。加えて,ビデオとして見せる工夫も学習意欲向上の面から考えさせた(これは多くのグループには,結果として功を奏さなかったが,一部のグループは工夫をしていた)。
できたビデオについては教育学部アーカイブサイトに掲載をしてもらった(学部内の人は,見ることができます。詳細は聞いてください。)。他のクラスのビデオについても,視聴をしてもらった。振り返りとしては,ビデオ制作のグループを解体し,ペアを組ませ,それぞれが調べた人物についての異同をシンキングツールを用いて比較させた(これも後でよく見たら,山内研と同じ取り組みになっていた・・・あくまで結果論です)。
教員採用試験に出るから勉強すると,単語のみを覚えるだけで,終了後はまったく意味のないものになってしまう。しかし,それぞれ調べたことについて意味づけしたり,考えたりすることで,学びを拡げることができたのではないかと思う。最後は,これをもとにして過去,現代の教育の方法をどう見るかということを簡単に解説した。
このような理論的な側面を持つ授業も,専門職大学院ではまた,重要だろうと思う(ただし,実践とのつながりを明確に出来たとして)。