Thinking for Themselves

最近周りでは評価の高い本。実は読んでなかったので読んでみた。

「考える力」はこうしてつける

「考える力」はこうしてつける

タイトルからもわかるように「思考力」をつけるにはどうするのが良いかを書いた本である。そこで振り返りとメタ認知能力を育てるための方法が書かれている。学習日誌,概念図(コンセプトマップ。本学の森田先生なんかがご専門),質問,交渉,自己評価に各1章ずつ割かれている。今,日本の構成主義的な学習に関わる実践はこうした手立てに関わるバリエーションが少ないと思っている。そういう意味では先行事例が掲載されている貴重な一冊といえるだろう。
これはオーストラリアの小学校で実際に行われているものであり,そのときはわからなかったが,昨年,ICCEでメルボルンに行った折,僕もその1つの学校に訪問している。id:kostera:20041214。黒上先生@関大らは今年も行かれたようだが,来年度もう1度一緒に行ければと思う。
僕が教育関係の本を読むときには高等教育の本の場合初等中等教育に,初等中等教育関連の場合は高等教育に当てはまるかどうかを考えながら読むことが多いが,これを大学の教育に適用するのは概念図など一部のツールを除いては難しいのではないかと思う。大学の授業は短いから。考えてみれば,カリキュラムからして大学は知識をうまく与えるという意図のみで構成されているのではないかと思った。
ところで,この本の訳者,吉田氏の本は偶然であるがこの日記でも2度取り上げていた。id:kostera:20050117(いい学校の選び方),id:kostera:20050502(校長先生という仕事)。なかなか面白い本を執筆されるかただ。注目したい。