自己評価

自己評価―「自己教育論」を超えて

自己評価―「自己教育論」を超えて

3月に京都大学高等教育研究会において発表する。内容は学習者が活動をする際に,確かに自分たちの評価の視点を持ちながら,活動に当たっていかなければ結局のところ何が身についたのか分からないので,それを意識させながら,学習を進めていく取り組みの試行である。具体的には教員と学習者によって事前に評価指標によって,これからの学習活動に対する了解を得て,それをもって学習活動を進め,最終的に自己評価レポートを提出させる。当然その自己評価は,自分がそのように評価した根拠を持たせるという意を含んでいる。その発表ために文献を読んで勉強している。
本書はそのために読んだ。自己評価にどういう意義があるのか,その多様な方法について具体的に述べられている。評価の基本文献のひとつとなるだろう。「学び方学習」への批判的な考察がとても興味深い。そういう考え方もあるのだと思った。また,感覚的にやっている上記のような進め方は著者の考えていることに沿っていると思う。今回の実践だけではなくて,最近気にしているコミュニケーション能力育成に関しても通ずるものがあると思った。自己評価という視点からもっと実践を見ていく必要があるだろう。章によってはそこまで言葉の一つをとってこだわらなくても,と思うところもなくはなかったが,示唆に富む本といえるだろう。
追記:出版社は「図書文化社」である(上記のものは違うのでは?)。とてもしっかりした本を出す会社だと思う。