説明の心理学

最近ほとんど本を読んでいなかったけれど,今後はしっかりとした理論を持つ本を中心に読んでいきたいと思っている。それを実践の場や研究に生かしていこうとするのが僕の生命線だと思うから。

説明の心理学―説明社会への理論・実践的アプローチ

説明の心理学―説明社会への理論・実践的アプローチ

本書は人々の説明によって形成される社会を「説明社会」と定義し,それをよりよくするための知見を得ようとするものである。「説明」の対象は,説明者だけではなく,被説明者への支援,メディアの利用,具体的な評価にまで話が及ぶ。実践においては,教育,医療,司法,産業などが対象となっており,カバーする範囲が広い。これら多領域にわたるものを「説明」という視点からまとめ,心理学の立場を主に整理しているというのがとても興味深い。
本書は自分のやっていることとかなり接点を持つものだと思った。子どもがわに置き換えると,よりよい説明者や被説明者をどのように育てるか(情報活用能力の育成),教師側に置き換えてみれば子どもにとってどのようなよい説明者になれるか(授業研究,特に授業でのコミュニケーション分析,またICTの効果的な活用など)に応用できるのではないかと思った。実践,特に「話し言葉」の研究に関してはこの分野ではまだ発展途上だといえそうなので,今後の動向を見守る必要がありそうだ。