ヴィゴツキー入門

ヴィゴツキー入門 (寺子屋新書)

ヴィゴツキー入門 (寺子屋新書)

教育学関係では知らない人のいないヴィゴツキーの研究知見について平易に紹介された入門書。特に我が国でもっともヴィゴツキーの翻訳書を取り扱っていると思われる方が著者なので,内容も信頼を置くことができると思われる。
内容は,話し言葉や書き言葉の発達,生活的概念と科学的概念,さらに性教育や芸術教育,障害児教育ととても幅広い。これが彼の業績の凄さなのだろうと思う。
理論が平易にまとめられている。時にピアジェの理論との比較なども出てきて難しくなるのだが,まあこれは自分の勉強不足だろうなあ(苦笑)。心理学で行けば当たり前なのだろうけれど,発達段階ごとによって子どもの構成する世界はそれぞれ異なる,というのは改めて参考になる(特に自分が関心を持っている言葉の部分など)。こうした基本的な考えに基づかなければ,結局実践を対象とした研究をやってもムダだろうと改めて思った(近年,実践においてあまりに議論されていないと僕は思う)。
また,彼がどのような方法で研究をまとめているのかに興味を持った(本書ではそこまで触れられないので)。こうしたことも研究の参考になるのではないかと思う。