疑似科学に関する冊子を読んで

うちの学部の長島先生(HPはこちら)が代表者となり,昨年度学部長裁量経費を受け,『疑似科学とのつきあいかた』という冊子を発行されている。血液型,水からの伝言マイナスイオン等がテーマとして扱われており,非常に興味深く拝見した。
僕はこのプロジェクトと関わりがあるわけではないけれど,自分の視点から見れば,ひとつはメディアリテラシーの大切さを実感した。世の中で,権威付けされた擬似的な情報が流されていて,それに対して私たちは判断をすることがさらに要求されるようになっている。分析的な見方のひとつの視点として,疑似科学なのかどうかという見分けや知識が必要なわけだ。そして,メディアリテラシーの研究の視点から見れば,この分野では最近何か作品を作るだとか,発信をする方が重視される傾向があり,受信するという視点が薄くなりすぎなのではないかと思った。
さらにもうひとつ,僕も研究者の一員として,人を対象とすることが多いのだけれど,本当に科学的な方法をとって研究出来ているか,という点を反省しなければいけないと思った。厳密には実験的な環境を作ることができるようなものではないけれど,研究の結果が事実かどうか,方法は妥当か,それに基づいて他の人に説明出来ているか。理念ばかりが先行しているのではないか。そうした視点が「実践研究」の名のもとに,少し欠けてきているのではないかという気がした。