奇跡と呼ばれた学校

奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)

奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)

京都市立堀川小学校の取り組みを校長先生がまとめた本。同校は学校を改革することで,大学合格者数を向上させたことで有名であるが,新しいカリキュラムの導入やそれに対する考え方を読めば,ただ単に受験対策をしたのではないということがわかる。
生徒のことを考えての学校改革の様子がよく伝わる。今の学校教育の現状を見ると,かなり思い切った改革である。
教育工学を専門とする私にとっては,同校の(高等学校としての)総合的な学習への取り組みが興味深い。また,筆者は独自の考えから「教科情報」の不要論を述べている。それはこのような科目はむしろ,総合的な学習や他の教科で実践されることが筋であるからだと主張している。確かに,きっちりとしたカリキュラム開発を行える学校ではそうなのかもしれない。しかし,実際の通常の高等学校のカリキュラムや教員組織を見ると,結構難しいんだよな。