教師のためのアサーション

教師のためのアサーション (アサーション・トレーニング講座)

教師のためのアサーション (アサーション・トレーニング講座)

アサーションとは「自分も相手も大切にした自己表現」と記述されている(p1)。本書はこの「アサーション」の概念が学校教育には必要であり,教師自身のためにも,そして子どもへの教育にも重要であることを説いている。また,いくつかの実践事例(アサーショントレーニング)も紹介している。
基本的な思想には共感を覚えた。また,アサーションが成り立つ仕組みを4段階に整理しているところが参考となった(p84)。「基本的アサーション権」「自己信頼(自己尊重)と他者信頼(他者尊重)」「アサーティブなものの見方・考え方」「スキルの習得」と4段階で積み重ねている。学校でコミュニケーション能力の育成というと,このうち「スキルの習得」のみにスポットが当たってしまうので,それだけではないことも形をもって再確認させられる。
本書からはアサーショントレーニングとして,かなり綿密なカリキュラムが開発されているのか,それとも一つの思想のようなものにそって,様々な事例が個々に開発されているレベルなのか,そのあたりがわからないところがあったので,もう少し類書に目を通してみたいと思う。