事例研究の方法(教職大学院の授業)

教職大学院の授業や教員免許更新講習においては,実施上の工夫も求められる,ということがよく記されている。一斉指導だけではなく,学習者のためにさまざまな手立てを講じよ,ということのようだ。ロールプレイ,事例研究(ケーススタディ)・・・などがある。
ところがこれが難しい。先日,「授業研究の理論と実際」(対象はストレートマスター)という授業において,事例研究にチャレンジしてみた。内容は,ある学校の授業およびその後の校内授業研究会にある院生が参加してきたので(私も指導助言者として参加した),それを報告してもらい,それに基づいて授業研究上の問題点や課題を議論するというものである。まあそもそもこれが事例研究というかわからないけれど。はじめは簡単に取り組んでもらうことを考えていたのだが,いろいろと話をしているうちに結局ひとコマ使った。ただ,実際にやってみて問題点はいろいろと感じた。

  • 何を学ばせたいか(これをどの程度固めておくか)
  • 事例に対する情報の収集を徹底的に行う
  • 説明者は状況をどのように説明するか(時間上全員見に行くことはできないので,「説明」という行為が必要)
  • 説明のためのメディアは何が適切か
  • 誰が説明をするのか(複数名必要では)
  • 説明者の適性があるのでは?(ある程度研究関心として状況が合うものを連れて行く)
  • 事例にはどのような情報があればよいのか(事例における要因をどの程度整理するのか)
  • 今回のレベル(この場合実習は学部でも大学院でも体験している院生らではあったが)の院生に適切な方法か?
  • どの程度議論の方向づけを教員が行うか(初めは大まかな論題を二つ提示したけれど,事実関係の把握に時間がかかった。もっとターゲットを絞った議論をしたほうがよいかも)
  • 当事者(この学校で授業をやった実践者)が来ればよいと思うが,時間の点で不可能。
  • (外部評価のために「この授業をやった」という客観的な証拠をどう残すか)

いろいろと難しい問題が絡んでいると思った。MBAのプログラムや法科大学院ではこのようなことが積極的になされていると思うけれど,どのように実施されているのか興味を持った。まだまだ考慮しなければいけない点があると思うと大変である。
何か参考図書があれば教えていただければと思う。