よい説明とは何か

主題はタイトル通り(実にわかりやすい。さすがにタイトルも「よい説明」である)。まず,これまでにどのようなものがよい説明か,という視点からいくつかのモデルを紹介している。そして,それらは認知主義アプローチに基づいているという批判に立ち,社会構成主義の論を展開する。後半は社会構成主義の視点から日常会話の相互作用などを例に,説明の構造について検討される。そして,よい説明の基盤,研究の在り方を議論している。
前半はとても勉強になる。少なくとも私の考えで行けば,自分は旧来からの認知主義アプローチによりこの「説明」という行為を考えていることになる。著者はそれらを乗り越える視点を後半では提案しているわけであるが,エスノメソドロジーが出てきた中盤あたりから内容が格段に難しくなってくる。普段は何にも感じないが,いわゆる教育現場での実践と研究のかい離のようなものがあるのではないか,と個人的には感じた。