考えることの科学

考えることの科学―推論の認知心理学への招待 (中公新書)

考えることの科学―推論の認知心理学への招待 (中公新書)

人間の推論について,心理学の立場から述べている。推論というのは,たとえば「今日は夕焼けなので,明日は晴れそうだ」みたいなもの。このような推論を人間は日常的に行っている。さまざまな研究の成果から推論の特徴や人間の推論の危うさなどについて触れている。
新書であるが,数式が出てくると拒否反応がある私のような人間としては話が結構難しい部分があるのであるが,それでもその根底にある推論の特徴のようなものはよく理解することができた。今とかく「思考力」というのが言われるのであるが,特に「力」に絞ったとき,それをどのように育てるかなど,あまり明確な方向があるようには思えない。そんな中で本書を見てみると,やはり型を学ぶこと,クリティカルにできるだけ考えること,その繰り返しと,その人本人の心理状況などで少しは説明できるのかな,という気がした。
大学の授業の素材などで使うと結構面白いと思う。