課題が残る大学の「総合的な学習」

 昨日は武藤先生・木村先生のクラスと合同し,大学の初年次教育にあたる教養ゼミナール発表会を実施した(いや,僕は何もやっていないので,木村先生や武藤先生には大変お世話になった,というべきだろう)。3,4名程度のグループで行った学習の成果を15分ずつ発表をした。この授業は,高校までではなかなか取り組めなかった,課題解決型の学習を目指している。私のとらえるところでいけば,大学での「総合的な学習」であり,自ら課題を設定し,調べ実行した結果をまとめるというものと位置づけられるだろう。
 他のクラスはよくわからないけれど,うちのクラスだけでいけば,授業外を含め,相当な時間を使ったということは,その活動の途中の状況を含め,理解することができた。はじめ進めるのに苦労したが,後半からはどういうことをやっていけばよいか,どう進めればよいかをある程度把握してからは,あまり指導の必要がなくなった。これは大学院生の丸山くんがファシリテーターとしてうまく進めてくれたからだと思っている。
 さて,学習成果の発表はどうだったか。努力は認めるが,努力は努力。内容のレベルとしては,低かったと思う。特に,設定する問題の質の低さが気になる。本当に,自身が「解決すべき問題」「課題のある問題」だと思っているのか。自分が期待しているレベルに,学生が到達しなかったということは,教員の責任である。とはいえ,複数クラスで開講されている科目であるから,まずは教員がどのレベルまでを期待するかについて共通理解を持つことが必要であろう。そして,ただの15時間しかないことも認識しなければいけない。さらに量的に取り入れられて行かないと,充実は期待できない。初等・中等教育段階において,このような取り組みが「総合的な学習」として行われているのであるが,その現状がまだまだであることも実感した。小学校段階から,大学段階までこの学習について考えないと,教育の未来は暗いと思う。「21世紀型スキル」が最近クローズアップされてきていており,議論をすることも必要だが,一方でこのような取り組みの量的・質的拡充,指導法に関する議論も欠かせない。
 しかし,総合的な学習については,自分なりに事例も知っているし,実際にも見てきたが,指導することの難しさを感じた。また今後,担当することがあればどのように実施するかを再び考えてみたい。