大学院セミナー

8月11日と12日,「教育実践と省察のコミュニティ2013」と題し,本学教職大学院(教育学研究科・教職実践専攻)のセミナーが行われた。毎年開催しているもので,本年度で4回目となる。
本来,同時期に開催されている国際会議,ICoMEに参加をしないといけなかったのだが,大学の方針により今年度はテーマをICTとすることになり,公務のため大学院のセミナー参加せざるを得なくなった。ICoMEの会場担当であった日本福祉大学の影戸先生,佐藤先生にはご迷惑をお掛けした。
プログラムや進行については,概ね一人で決定をした。11日は,大学院生のうち,年度末修了予定者の中間報告会があった。これまで,ポスター発表にメリハリがなかったようだったので,責任発表時間を設けた。発表数が20名と多く,すべての発表を見まわるのは難しかったようだが,どこの発表も賑わっていた。これまで,結局内部生しか参加をしていないことが多いようだったので,修了生に積極的に呼びかけたりしたところ,数名来てくださったのでありがたかった。修了生の根津先生,猿渡先生には,ポスター発表修了後の振り返り時間に,コメントを頂いた。
その後,全体で「よい実践研究とは?」を考えるワークショップを実施した。必ずしも統一されたものが出てきたわけではないけれど,きちんとした背景を踏まえて了解性を高めること,他者にも説得力あるかたちで伝えることが必要であるなどの意見が出てきた。一方,新規性に対する解釈はかなり割れることを確認することができた。その後,地頭薗先生に大学院生に求める力について,ご講演いただいた。「現場に役立つ」ということがどういうことかを考えさせられた。このあとは,簡単な交流。院生の丸山くんがうまく進めてくれた。
12日はICTをテーマとした研究会であった。基調講演は奈良教育大の小柳先生。フューチャースクールやまなびのイノベ等のICT活用の動向,近年の情報教育や新しい学力観,それに伴う評価などをお話いただいた。良い意味でのハイレベルで,これは専門の学会の基調講演でもよいのではと思ったぐらいであった。背景理論を整理するだけではなく,それを独自にモデル化し具体例に落とされていた点には,凄みすら感じた。
午後からは,その一方で,日常的にICTを活用することはどういうことかを富山大学の高橋先生によるワークショップをとおして考えていただくことにした。高橋さんは,会場のレベルを瞬時に把握し,課題を調整されていたので,さすがだなと思った。これをできる大学教員はそうはいないと思う。参加者の積極性もあり,盛り上がった。これによって,実習や授業の進め方,教科書等の見方が変わってくることを期待したい。最後はシンポジウム。修了生の才木先生(附属小),横地先生(佐賀・赤松小),西川先生(長崎県教委)にご登壇いただいた。それぞれの立場から話題提供いただくことで,今後の実践研究テーマについて考えられればと思ったが,私の力不足で正直言えばそこまでのレベルには到達させられなかった。ただ,日常の学校教育とどうつなぐか,現在の進め方に関する疑問等も提示され,専門の異なる人たちが何らかの考えを持つ良い機会となった。
プログラムをある程度確定させた地点で,役者が揃っているため安心をして進めることができた。これができれば発展し,うちの大学のメインテーマのひとつになること,これを機会に長崎県教育界との連携が進むことを期待したい。
ところで,これをうまく進めることができたのは,実行委員長の松元先生の陰からのものすごく丁寧な支援(教授にここまでさせてしまい誠に申し訳ない思いだった),本当に協力的に動いてくれる大学院生によるものだと思っている。院生については特に丸山くんが取りまとめてくれたので,私の準備は殆どいらなかった。
多くの方々が集ってくれたし,こうした研究会が大学ぐるみで出来たのは良い経験となったし,うまくいって達成感もあった。