教創局

うちの学部では「教創局」(きょうそうきょく)という学内広報誌を半年に一度,発行している。GW明けに締切の一本の原稿を依頼されており,それを書き始めた。その際,前号も書いたことを思い出した。まず半年前のものを本サイトに再掲載してみたい。連休明けはちょうど教育実習が始まることだし。
学部生に向けて書く場合(あるいは高校生も読むかもしれない),それは論文のように書くわけにはいかない。まだまだ文章が硬く,うまく行かないが,先日取り上げた本のようにわかりやすく書くことができるようになりたい。

教育実習に関する学生の皆さんへのメッセージ
寺嶋浩介(教育実践総合センター)

 教師となる第一歩を踏み出す大学での教育実習は,その後の成長を考える上でとても重要な機会になると考えられます。長崎大学教育学部でも充分にそのことを考慮したうえで,教育実地研究(教育実習)のカリキュラムの編成を心がけています。
 教育実習は一般的に教育現場における学生みなさんの「体験」を重視します。教育実習は通常の学部内の講義や演習ではできないことを,実際に附属学校・園の現場で体験することを通して,生の情報に触れ,時には大きな問題にあたりながらこれまでの学習で得た知識と関連させ,挑戦していく問題解決型の実地研究であるといえるでしょう。
 学生の皆さんもこの教育実習に「自分の成長を促す場」として大きな期待を寄せているに違いありません。そこで本稿ではそれをさらに有意義にするためのメッセージをエールとしてお送りしたいと思います。

「反省的実践家」になろう
 現3年生(2004年度入学生)より始まった新しいカリキュラムのもとでは1,2年生での「参加観察実習」,3年生での「主免実習」と「副免実習」,そして今後4年生,あるいは各学年で実践される「学校教育実地体験実習」と豊富な体験の場が用意されています。
 皆さんはたとえば「今日は小学校の参加観察実習だ」,「今日からは幼稚園での副免実習だ」というように各実習をそれぞれ別にとらえていませんか?もちろん各校園種によって子どもの発達段階は異なりますし,学習活動の展開も違っては来るでしょう。でもそのような中で,総合的に教師に求められる力量と現在の自分の実力を毎日の活動の中から振り返り,次につなげていって欲しいと思います。ただ大学や各附属学校・園からやるべきことが与えられるだけでは自己の成長にはつながりません。「反省的実践家」という言葉がありますが,まさにそれを目指して欲しいと思います。そうすると事前・事後指導はもとより大学での各講義の受け方もさらに充実したものになるだろうと思います。

自己管理の徹底を
 教師という職業は授業や日常生活を通して子どもの成長を支援する職業であるといえるでしょう。そのためには様々な状況や子どもが「見える」ということが重要です。「見える」からこそ様々な対応ができます。それには知識や技術面のみではなく,安定した体力や気力も必要です。
 ところがここ数年,実習中に体調を崩す学生さんが増えてきているという報告を受けます。教育実習の場はただでさえ皆さんにとっては緊張の連続です。普段の学生生活とは全く違う毎日が訪れます。そんな中で自己管理ができない人には様々な環境が「見えて」きません。それでは効果的な教育実習は望めません。
 当たり前のことですが,徹底した自己管理をお願いします。また,体調面に不安のある方は事前に学部の指導教授や附属学校・園の実習担当の先生方にお伝えしておけば,万が一何かあった際でも,その後の対応がスムーズに行くのではないかと思います。

以上のことに留意した上で,教育実習を充実したものにしてください。学部の先生も附属学校・園の先生方も皆さんの若い力に期待しています。