パフォーマンス評価

パフォーマンス評価―子どもの思考と表現を評価する (日本標準ブックレット)

パフォーマンス評価―子どもの思考と表現を評価する (日本標準ブックレット)

理論と著者らの算数学力に関する調査で実施した例を用いて,パフォーマンス評価について平易に説明している。この分野の入門書になるだろう。勉強になった。
読んでもった感想は主として2つ。ひとつは文中にもあるように,現場への適用。やろうとしていることはよくわかるけれど,実際にこれを行うには時間などの面から困難を要する。そこで,いかにして現実的に実施できるか(もちろん理念を曲げずに)を考えていく必要がある。
もうひとつは思考,表現の評価について。これについてはいくつかの感想を持った。整理しきれないが,

  • 表現様式に拘束され,子どもが表現できない可能性がある。このため,純粋な思考や表現力を見れないのではないか。
  • 知識や理解とともに,表現力や思考力を見ることができないのではないか(知識・理解はあるが,表現力や思考力が欠如している場合)
  • 現場とのかい離(現在の思考・表現に関する考えが現場に伝わっていない)。多くの現場がいわゆるちゃんとした内容を伝えるよりも,その手段に重きを置いている(特にコミュニケーション能力において言えること)
  • 思考,表現の守備範囲(かなり多様な解釈がある)←それはルーブリックで解決か

最後にも書いたように,ルーブリックとの併用が求められている。これと同時にルーブリックのことについても考える必要性が指摘されている。