授業研究が・・・

大学の授業で取り扱わないといけないこともあり,「授業研究」に関する書籍や論文を読み込んでいる。これを読んでいると,最近の授業研究は,少なくとも自分の学問分野の周りを見ていると,手薄になってきているような気がする。昔の研究レベルよりはるかに低く,実践で終わっている部分もある。
もちろん,学習環境を考えた授業設計,共同学習の理論,構成主義に基づく授業の組み立て,情報化への対応,総合的な学習の時間等ロングスパンでのカリキュラム開発,教師研究の広がり,新たな研究方法論の議論などにおいては,昔と比較できないほどである。しかし,「個々の授業を研究する」という発想が現在ではほとんどないように見える。あっても実践と効果にとどまり深い分析になっていないもの,やっていても論文とか発表にはあまり至っていないものが多そうだ。
原因としては様々あって,外的な要因としては多忙化とかなどがあるのだろうけれど,教育工学などは教科内容という領域固有の視座が少し欠けていたのではないかと思う。生田・吉崎(1997)授業研究の動向.日本教育工学雑誌20(4):191-198にも(すでに10年前だけれど),このような指摘があった。
僕はICT活用にかかわる授業研究を進めたいと思っているが,知見「普及」の視点から考えても,このことを肝に銘じて進めていきたいと思う。幸い,教育学部に所属しているので,連携の取りようはあるのではないかと思っている。
研究方法の議論が盛り上がっている昨今ではあるが,授業研究自体がもっと多様なものがあればよいのにと感じた。