三重大が教員養成大学院の設置案 試験合格者に2年研修

asahi.comからの引用(一部)。
今週の教員養成に関するニュースでは一番大きなものだろうと思う。

三重大学(内田淳正学長)は、三重県の教員採用試験に合格した学生らを全員受け入れ、2年間の研修をする「教員養成大学院」(仮称)を設置する案をつくり、文部科学省に示した。2年のうち、1年を教育実習にあてる予定だ。民主党が目指す教員養成6年制導入をにらんだもので、今後、こうした制度を全国の教員養成大学や学部に広げたい考えもある。

 文科省は年明けにも有識者らによる会議を設けて制度設計の本格検討に入る。ただ、三重大の案が実現するかどうかは、この議論の展開次第とみられる。

 三重大の案によると、教員養成学部や他学部で教職課程の単位を取得した学生に「仮免許状」を与えて採用試験の受験資格にする。さらに、都道府県や学校法人の採用試験に合格した学生すべてがその自治体に設けられた「教員養成大学院」に入学するという仕組みを想定している。

 たとえば、三重大の場合、三重県の採用試験合格者を、いったん大学院に集める。大学院では2年次の1年間を、新任教員に準ずる位置づけで小中高校などに配属し、受け入れ側の学校と大学教員で指導することで実践力を養う。そのうえで卒業後に正式教員として赴任させる計画だ。案では、院生の定員は、県の採用試験の合格者をもとに決定し、2010年度の採用予定者数約385人程度になる見込み。13年度か、14年度から実施に踏み切りたい意向だ。この制度について、大学は今後、県側とも調整する。
(以下略)

私の教職大学院等を通した今までの経験からすると,これはかなり難しいのではないかと思う。
まず,385人に対して,大学が実習の指導を行うというのがまともにやろうと思うと難しい。それは今の教職大学院の定員数と教員の定数の関係を見れば明らかだ。385人だったら,仮に教員が学部で100人いたとして全員が指導に当たったとすると,教員ひとりにつき4人の学生になるわけだけれど,おそらく3分の2以上が教科教育(すなわち各教科の内容が専門)の担当者だとすると,指導にかかれる人はほとんどいないように思う。あるひとりの指導教員のもとにかなりの数の学生が集まるのは明らかである。仮に,大学があまり入らない体制をとるとすれば,今までの新任教師の育成システムとあまり変わらないのではないかと思う。
また,県との協力関係をどのように築いているのかも気になった。2年のうち1年間は大学院で授業などを行うということだろうか。そうなれば,大学教員からすると授業が純増にならざるを得ないので,相当苦しいのではないか。そこで,県から派遣教員が数名来ることは容易に予測されるが,それは何名だろう。県教委からしても新たに別の仕事が純増するし,それに対してある程度の人員を割くことはなかなか厳しいだろうと思う。
しかも,かかる費用は免除との考えも述べられている。
この記事を読んだだけで判断するのはよろしくないけれど,以上のような印象を持った。
「教員養成6年制導入」を視野に入れたもっともはやい組織的な取り組みの一つだと思うが,今後の動向をチェックしたいと思う。