教育工学会雑感

18日から20日にかけて,日本教育工学会が金城学院大学で開かれた。綺麗だけではない,品のある大学だったように思う。快適に過ごすことができた。以下,雑感。

  • 特に初日のシンポジウムにおいて,教科教育とICTのことが取り上げられたが,自分の方向性がまちがっていないことを確認することができた。ICT活用指導力に関しては,教員養成との接点を教科教育の視点からもう少し考えを深めたいと思う。
  • 普段は初等中等教育を対象にした研究がメインだが,学会ではいろんな領域に行くことを心がけている。流行は,高等教育でのアクティブラーニング,game based learningといったところか。前者は言葉としてはすぐに消えて行くと思うが,アクティブラーニングの考えを質的にどのように充実させていくかというのが今後の議論になるだろう。後者は海外ではとても多くの論文が出ているように思うので,日本でも期待されるけれど,日本なりの教育システムの関係もあるから,多くの人が研究として取り組んでいくのは難しいかもしれない。この他,領域にかかわらず,研修をテーマにしたようなものが多いけれど,初等中等教育でいけば,授業を直接扱うようなものが少なくなっている気がする。
  • 発表は少ないが,初等中等教育におけるICT活用にフォーカスしてみると,どのように定着,普及を図るかという方向にシフトしてきていると思う。パンフレットやルーブリック開発などがあったが,なるほどと思わせるものであった。また,実践のエビデンスの残し方についても深い発表がなされるようになってきている。
  • 発表カテゴリーは,投稿の際はよく考えたほうが良いように思う。前年度の発表が参考になるだろう。このことは共同発表のひとつの小清水先生@静岡大にアドバイスした。でも,発表とポスターはどのように使い分ければよいのかなとはまだ難しい。システム開発で見せながら,などはポスターがとても良いけれど。
  • 2日目のシンポジウムを聞いていて,あんまり本大会,研究会の流れを意識していなかったことを反省。本大会では時間が短いから,基本的な考えを述べ,研究会で少し長めの文章を土台に少し長めに議論し,修正したものを論文投稿,などというのがひとつのイメージかなあ。あと,吉崎先生のご発言が自分にとっては痛い(教員養成に関わるものはちゃんと現場に結びついて研究をやっているのかと)。現場とのつながり方を今の自分の身に置き換えて考えていかなければいけない。
  • twitterが結構利用され,盛り上がっていた。僕も試しに少しやってみたが,ひとより思考の時間がかかるし,議論の流れを見ていると,本当にちゃんと話を聞いているのか自分でもあやしくなる(苦笑)。マルチタスクではない自分を実感。
  • 内容とは関係ないけれど,初日の夜に関大のドクター修了生および在学生で集まったことは良かったと思う。一応先輩なので,後輩に何が出来るかを少し考えなければならない。昨年度のドクター取得者等をお祝いできたが,毎年何か祝えることがあるといいな。

来年度は同じ時期に首都大学東京で。頑張ってひとつ発表しよう。
学会は厳しい,大変。甘くない。でもその分勉強になる。