「教職の省察」のための手引き(2009年度バージョン)

2009年度より,教員免許更新講習の必修領域「学校を巡る教育事情及び 子どもの変化に対応した取り組み 」を担当している。この領域は4つの科目にわけられ,そのうちトップバッターとして「教職の省察」を担当している。この科目において,試行錯誤を繰り返し,現在3年目となる。文科省ウェブページにおいて,参考資料となる情報提供も行ってくれている。このうち,「学校を巡る近年の状況の変化」はデータがどういうものがあるのかを理解していれば良いのではないかと考えた。そこで,「教員としての子ども観、教育観等についての省察」を重視すべきだと判断している。
この省察の問題点は,「振り返ってください」とただ言うだけでは,当然ながら漠然とした振り返りになってしまうことにある。そこで,「『教職の省察』のための手引き」というのを考案し,私とその当時の共同担当者(地頭薗・元長崎大学教授)で講習の中で利用してきた。これをもとに,自分で振り返ったり話しあったりするのである。
まずは初年度(2009年度)のものをここに公開してみたい。なお,多くの項目については,それに対応する調査データを配布したりした。そのデータもかなり多かったことを記憶している。

1.なぜ自分は教師になったのかを思い出してみましょう。

2.教師の多忙化に対する打開策を考えましょう。それを自分でできることと自分だけではできないことに分けて考えてみましょう。

3.現在の社会状況に合わせて求められる学校とはどんなものかを考えてみましょう。特に,どの点に対応すればよいかも考えてみましょう。

4.「子どもが変わってきた」と思うのはどの点ですか?今も昔(新任当初)も変わらないのはどの点だと思いますか?

5.保護者に対する調査の中で,保護者一般と自分のギャップがあると思うのはどこですか?逆に,自分も同じ意見であると思うのはありますか?それはなぜ,そのように思うのかを考えてみましょう。

6.自分自身を振り返ってみて,どのように教師としての力量(中身は自分で考えてください)を身につけてきたかを考えてみましょう。

7.教職人生において,自分の「転機」はいつですか? それはなぜそう考えますか?

8.専門職としての教師の役割を考え,それをより充実させるための今後の行動について考えてみましょう。