ICTを活用した授業改善に取り組む中学校への訪問(1)佐世保市立広田中学校

今月もまた,2つの中学校を訪問する機会があったので,まとめておきたい。
12月17日には,佐世保市立広田中学校へ行ってきた。佐世保といっても中心部からは離れている。EXILEのTAKAHIROの母校だとか。学校の研究としては,佐藤学氏の提唱する「学びの共同体」を中心にICT活用にも取り組まれているということであった。長崎県の中で,佐世保は他の地域に比べるとデジタル教科書やICT環境が比較的整っているところである。佐世保では,中学校教育研究会に放送教育部会があるそうで,そこでお話をするということであった。
まず部会の前に,同日に長崎大学と地元の学校教育現場が協働して行なっているCST(コアサイエンスティーチャー)事業に関する授業があるということで,私は事業の一員ではないが,理科の授業を参観させていただいた。気象の授業で,生徒がワークシートやデジタル教科書を活用しながら,発表するという授業であった。授業終了後は有益な議論を行うことができた。デジタル教科書の活用と言うよりも,生徒の言語活動やそのためのグループの編成がポイントなのだろうと思った。
午後からは,放送教育部会の研究会ということで,他の学校の先生による数学の飛び込み授業があり,その後授業研究会があった。そして,私からのICT活用の話をした。「手書きで書くこと」について,ICTとの関係で話で上がったが,ICTでもアナログの世界でも,その活動を通して何を育成するのかということが前提として議論されるべきで,ただ問題提起しただけでは漠然とした議論になるように感じた。
同校では,今後もICT活用を進めていくという計画だそうで,2年後(?)には県のメディア教育大会が佐世保で行われることになっているそうだ。
この中心になっているのは,校長の立木先生である。教育工学について勉強もされており,今後成果が期待できる学校だと思った。ベテランだけではなく,(私よりも若い!)研究者を本校に呼んでいるのも大きな特徴だろう。2年前にはパナソニック教育財団の研究会として,泰山さん(関西大学大学院)を講師として招聘している。卒業生である藤井さん(長崎大学の卒業生で,現在は九州大学大学院)も継続的に訪問され,指導助言を行なっている。藤井さんとは学校現場ではじめて同席することになり,授業研究の視点からの指導助言は私も大変勉強になった。
今後佐世保の教育情報化が授業改善の側面でも盛り上がっていけばと思う。機会があればまた訪問したい。